カルタラ

カルタラ

カルタラはコロンボの南に位置する沿岸都市であり、豊かな文化と歴史がある。スリランカの「スパイス庫」として知られており、その倉庫群を護衛するため、ポルトガル人やオランダ人が建設した要塞も存在する。

カルタラは、カルー・ガンガ川の畔にあり、賑やかな繁華街とのどかな郊外からなる都市で、スリランカ南西部のビーチに広がる黄金地帯の突端にあたる。

カルタラに到着してまず目に飛び込んでくるのは、カルー・ガンガ川の河口に建設された全長38mの橋である。ほぼ毎日、早朝とそれから夕方遅く、この橋から糸を垂らす釣り人の姿が見られる。カルタラの寺院に向かう参拝客は大概、寺院に通じる橋の小道を歩いていくことが多く、時にこのルートは混み合うこともある。カルタラの象徴ともいえるあの寺院と白くそびえ立つ仏塔——ダーガバ——を写真に収めたいなら、ここは絶対に外せないスポットである。

橋を渡りきった所にあるガンガティラカ・ヴィハーラヤ仏教寺院では、ぜひ時間に余裕をもって散策してほしい。この寺院は地元の人々にはカルタラ・ヴィハーラヤの名でも知られる。寺院の荘厳な白い仏塔は、世界で唯一、内部が空洞となったドーム状の仏教聖堂である。内に入れば常時涼しく、壁に広がる74枚の細密画には、ブッダの本生話であるジャータカ(ブッダの前世の物語)の各場面が描かれている。1960年代に建造されたこの寺院は実際、かつてポルトガルとオランダの要塞壁があった場所に建っている。

カルタラには、ローマカトリック教会も多数あり、伝統的なイタリア建築様式で建造されている。カルタラのカラマラ地域にはこうした教会のうちの多くが集まっている。聖十字教会、聖マリア教会、幼子イエス教会などはどれも、カルタラを訪れたならぜひ足を運んでみる価値のある場所だ。

もう一つ、趣きと豊かな味わいを感じさせてくれる建造物といえば、19世紀に建造の大邸宅にしてカルタラの秘宝ともいえる、リッチモンド城である。1896年、カルタラ地区のムダリヤールという要職についていたドン・アータル・シリワルダナ氏が建てたこの邸宅には、東洋と西洋の建築様式を大胆に組み合わせた趣向が見て取れる。イギリスの大宮殿はもちろん、インドのラムナードにあるマハラジャ宮殿からも影響を受けており、床のタイルから、屋根瓦、ステンドグラス、装飾的な造作部材まで、そして浴室の付属器具でさえ、建物のありとあらゆる備品類がスリランカ国外から特別に調達された。現在は、公共の受託機関が所有・運営しており、家屋も土地も一般に公開されているので、ゆったりとピクニックや散歩をするのにもってこいの場所となっている。

カルタラは、ホテル、レストラン、そしてカフェが建ち並ぶビーチにも恵まれており、訪れた者をリラクセーションと寛ぎのひとときへと誘ってくれる。カリード・ビーチはカルタラ・ヴィハーラ寺院の傍に位置する海浜公園で、地元の家族連れやビーチ好きの間で人気だ。人でごった返すビーチにいたくないなら、カルタラ市街地へとつながる海浜地帯を歩いてもいいし、左にはマングローブの木立の間を走り抜ける川が、そして右にはインド洋が見える、砂地を歩いていってもいい。道中、ビーチにほど近いところで、釣り竿を手に渦潮で漁をする人々の姿も目に入ってくる筈だ。

カルタラには、地元民と同じように、現地の本物のショッピングを体験できる市場もあるし、商店も多い。もう少し活動的なことをしたいというなら、カルー・ガンガ川でボートに乗ることもでき、川畔のマングローブの木立や鳥達に遭遇しながら探検するのもいいだろう。

海岸沿いの小道を歩いていくと、カルタラ名物の「トディ・タッパー」――ヤシの木に登り、枝の間に張り巡らしたロープをつたい歩いて、ヤシの花の樹液を取る人々――に出逢える。新鮮なヤシの樹液を少し口にしてみれば、清々しさと、それから酸味と甘味が少しずつ感じられるし、ヤシのジュースの味にも似ていることが分かる。スリランカでもっと人気なのは、発酵させたヤシの樹液だ。なぜならその樹液こそが蒸留酒「アラック」のベースとなっているからである。

Close Menu
Close Panel