ムーンストーン――古代寺院の入口へと続く第一歩目の踏み石――は、ブッダの時代のインドが発祥といわれている。シュラーヴァスティのパッバラーマ寺院の床は、ムーンストーンとほぼ同じ形の石が敷かれており、その原型ではないかと考えられている。
スリランカのムーンストーンは半円形をしており、外側から炎、象、馬、牡牛、ライオン、白鳥(ハンサ)の模様が同心円状に施されている。中央には蓮の花が描かれており、これは悟りの境地を表している。
それぞれの動物にも意味がある。象は誕生を、馬は老いを、牡牛は病を、ライオンは死を象徴するといわれ、これらを踏み越えることが輪廻から解脱することを意味する。
最も美しいムーンストーンの一つはアヌラーダプラのマハーセーナ王宮跡で見られる。また、ポロンナルワのニッサンカ・マッラ王宮跡にも見事なムーンストーンが残っている。
現在では観光土産としてのムーンストーン(月長石)も有名だが、建築的なムーンストーンとは異なるものである。スリランカは月長石の産地としても知られており、特に中部のドンブラが有名だ。