エッラは、スリランカの国内でも特に冒険に満ち溢れた地域のうちのひとつである。エッラは、コロンボからおよそ240kmの距離のところにあり、岩多い山々の麓に抱かれ、手つかずの森、そして数十もの滝や川に恵まれた中央高原の小さな町である。
湿度の高い沿海部から離れられ、更には丘陵地特有のじめじめとした雨からも逃れられるといった条件を完璧に満たす気候に恵まれた場所を探しているなら、エッラは理想の地だ。環境・空気感の面でも、気候の面でも冷涼で、旅行者達はよくこの地を、スリランカの中で最も「涼やかでくつろげる」観光地のうちのひとつであり、訪れた人が気持ちの赴くままに時を過ごせる場所などと表現したりしている。それでもエッラという地は、望めば冒険に満ちた場所にもなり得る。
エッラはおそらく、地元の人々の間では神話が息づく地として最も知られている。同地域には、インド最大の叙事詩であるラーマーヤナと関わりのある場所が点在する。三千年を超える歴史を有するこの物語においては、ヒンドゥー教の聖典に登場するアヨーディヤーの王、ラーマの妃シーターが、ランカーの王ラーヴァナに誘拐され、エッラ近郊の洞窟に捕らえられる。
以下は、エッラでおすすめの8つのアクティビティ。冒険とその興奮のレベルに基づいて紹介している。
1. エッラ峡谷
ここは文字通り二つの山に挟まれた峡谷であり、急斜面の景色に思わず心奪われる場所。好天の日なら、峡谷越しに遥か南の沿岸部が見渡せる。
この絶景には19世紀の入植者達も魅了された。そのうちの一人がエマーソン・テネント卿であり、セイロンについての著作において「このエッラの峠が見せてくれるほどに際立って、荘厳さと美しさというものが両立している景色は、おそらくこの世界のどこにも存在しないであろう」と記している。
2. リトル・アダムズ・ピーク
リトル・アダムズ・ピークはアダムズ・ピークの甥の峰といわれている。エッラの町から、小さな村と茶畑をいくつか通り過ぎてこの山の麓までトレッキングすることができ、1時間15分か、ペースによってはそれ以上かかるコース。山頂からの眺めは素晴らしく、多くの登山者が早朝出発のスケジュールを取るのは、日の出を拝むためだ。
3. ナイン・アーチ・ブリッジ
エッラを訪れたなら、町のすぐ外にある、この世界的にも有名な橋へのトレッキングは外せない。この橋は30m(100フィート)もの高さで、1920年に建造され、一切鋼鉄は使われておらず、全て岩、石、そしてセメントで出来ている。
9つのアーチから成るこの橋は、鋼鉄を一切使用せずに峡谷の上に建造されており、その技術は卓越した土木工学の粋を集めた偉業とされている。絶壁を曲がりくねり、アーチ上を傾きながら進む列車からの眺めは、インスタで話題になりそうな瞬間がすぐ間近に繰り広げられるような感じだ。
4. リプトンズ・シート
スリランカでお茶の物語が最初に紐解かれた場所を知りたいと思ったことがあるなら、ぜひ自分の目で見てほしい。ハプターレにあるリプトンズ・シートは、エッラから電車でも車でもすぐに訪問できる所だ。トーマス・リプトンが最初にお茶の種を蒔き、丹精してお茶の林園を育成し、ついには見渡す限りの地を覆い尽くすほどの茶畑にした場所を訪ねてみよう。
5. 散策
エッラには、短距離でも長距離でも、散歩やトレッキングのためのコースが数限りなくある。茶畑を抜けて小さな村や製茶工場を巡って何マイルも散歩できる。もう一つの土木工学の偉業とされるデモダーラ駅にも歩いて行けるし、カフェ、工芸品店、それから屋台が建ち並ぶエッラの町を散策することもできる。
6. ディヤルマの滝で泳ぐ
スリランカで2番目の高さを誇る滝を訪ね、この素晴らしい滝の麓から山を少し登っていくと平坦な場所に出るが、ここには冷水浴をするのにもってこいの小さな岩場の水たまりが沢山ある。
7.ラーヴァナ訪問
ラーヴァナ・エッラの滝は幹線道路に接していて見つけやすい位置にあり、地元民に人気の滝浴スポットになっている。ラーヴァナの洞窟はエッラからおよそ5km南にあり、現在、洞窟入口までは全行程にセメントの階段が整備されているので比較的アクセスしやすい。ただしその入口から長い上り坂のコースが更に続く。地元民に聞けば、ラーヴァナの物語に関わる神話や伝説のある場所を他にも数多く教えてくれる筈だ。
8. エッラ・ロック
更に難易度の高いチャレンジに挑む余裕がある方には、エッラ・ロックへの登頂がおすすめ。頂上へのハイキングの所要時間は最短でも2時間で初心者向けではない。数多くの民宿が、山道を同行してくれるガイド・サービスを提供している。この山頂からの眺望も息を飲むほどの絶景である。
上にリスト・アップしたアクティビティでは少し物足りないという方向けにも、ロック・クライミング、懸垂下降(アプザイレン)、洞窟探検、滝トレッキング、その他エッラで楽しめるアドベンチャー・スポーツを多数、提供するアドベンチャー・スポーツ会社も数多く存在する。